日常

大企業へ就職を考えている高専生へ

この記事は、現在高専の準学士課程に在籍している方に向けて書きます。
また、高専への進学を考えている中学生の方にも参考になると思います。

私は、高専の準学士課程を修了して、とある大企業に就職しました。
就職して8年が経過し、色々と考えたことがあるので記載していこうかと思いました。
私の就職した企業は、良くも悪くも尖った部分のない会社なので、多くの企業と大きくは乖離しないと思いますが、多かれ少なかれ企業ごとに特色があります。
私の意見がすべてではありません。考え方の一つとして参考にしていただけると幸いです。

高専から大企業に就職するメリット・デメリット

始めに、私の考える高専(準学士課程)から大企業に就職するメリットとデメリットを整理します。

<メリット>
・就職の難易度が低い
・学士/博士課程修了者よりも若く就職が出来る
・実際に作業ができる人材として期待される
<デメリット>
・現場に近い部署に配属されやすい
・学士/博士課程修了者と比べると給料や昇進の面で不利になることも
・学士/博士課程修了者と比べると課題解決の経験に差が出やすい

まずはメリットから項目ごとに説明していきます。
・就職の難易度が低い
これは、高専に通う方であればすでにご存じかと思います。
高専生の多は学校の推薦をもらって就職試験を受けると思います。
これは大きなアドバンテージがあり、しっかりやれば就職はイージーです。
単純に考えて、国内の大学の数と高専の数を比較すると、大学が国公私立含めて781大学に対して、高専は国公私立含めて57校しかありません。
同じ立場の競争相手が少ないということも就職の難易度を下げる要因の一つだと考えています。
私個人の思いですが、あんまり勉強を頑張っていないけど大企業に就職しました。という人も多くいるように思います。

・学士/博士課程修了者よりも若く就職が出来る
これは、当たり前のことのように思えますが、大きなメリットだと思います。
留年をせずに高専の準学士課程を修了し就職すると、20歳での就職になるので、
学士課程修了者よりも2年程度、修士課程修了者よりも4年程度若く就職することなります。
これによって、同世代の人に比べて早く仕事を覚えることが出来ることになり、同世代の人が就職してきたときには、その職場においては先輩になることになります。
職場によって仕事の進め方に特色があることが多いので、その職場でのやり方を早く覚えて業務にかかわるスキルを身に着けられることは、その職場での仕事においてはメリットになります。

・実際に作業ができる人材として期待される
高専は、実技の科目が多くあります。
普通高校から大学に進学し各種工学を専攻する人の中には、あまり実技を経験していない人が見られます。
これが高専卒業者の大きな強みになると思います。

次にデメリットの説明に移ります。

・現場に近い部署に配属されやすい
メリットの裏返しにもなりますが、高専生は実技に強いという面があります。
どうしても、現場に近い部署に配属されることが多いようです。
私の在籍している会社でも、高専卒の多くは現場に近い部署(生産設備の設計・組み立てや生産準備、品質保証など)に配属になっています。
そのような仕事を希望する場合には問題ありませんが、製品の企画や設計といった部署で仕事がしたい場合には、進学を検討したほうが良いと思います。

・学士/博士課程修了者と比べると給料や昇進の面で不利になることも
給料や昇進については企業によっても差が大きいので一概には言えませんが、大企業に絞って考えると、少なからず学歴が影響しているように思います。
少なくとも、私の在籍する会社に準学士修了で就職した重役はいませんし、私の周りの管理職に準学士修了で就職した人はいません。
最終的には、成果をしっかり出せるかという点が重要だと思いますが、それは任される業務にもある程度左右されるので、花形業務を任されるためには学歴という武器も有効なのかなと考えています。

・学士/博士課程修了者と比べると課題解決の経験に差が出やすい
仕事をするうえで最も重要な能力は課題解決の能力(課題の設定・解決手段の検討・検証)だと思います。
この能力は経験を積むことで培われる能力で、大学院まで進学した人は就職した時点である程度培っている人が多いように感じます。
おそらく、学士課程までは教えられることが中心になっていますが、修士課程は考えることが中心になっているためだと考えています。
高専での卒業研究もありますが、多くの人は教授の持っているテーマを部分的にやってみるような形になるのではないかと思います。
私の経験から考えると、テーマを与えられた中で考えても、課題解決の能力はあまり身に付きません。
高専のカリキュラムでは、今ある問題点から、目的を持って課題を設定する経験をほぼしないため、この点は準学士課程修了で就職する人は努力する必要があると思います。

高専から大企業に就職する人へアドバイス

簡潔にまとめると、現場に近い仕事がしたいなら高専から就職、製品の企画・設計がしたいなら専攻科・大学に進学をおすすめします。
高専から就職する場合には、課題解決能力を意識して成長できるといいと思います。
私個人の考えとしては、最低限の知識は高専で学ぶもので十分だと思います。
就職してから、その専門性を高めていけば問題ありません。

やりたいことがある人はそれをやれるように頑張ればいいし、やりたいことがない人はとりあえず大きい会社に入っておけば色々なものが見られていいと思います。
しっかり考えて、できるだけ後悔しない選択ができるといいですね。