感想

【感想】「終わった人」をよんで(内館牧子著)

 

お世話になっております。
内館牧子さん著の「終わった人」を読んだので感想を書きます。
呼んだきっかけは、映画の予告を見たことです。

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始めにざっくりとあらすじを書きます。
主人公は、東大出身の銀行マンです。
エリート街道まっしぐらで大手銀行の役員目前だったのですが、行内の派閥の関係で運悪く役人にはなれず、子会社の専務に就いています。
物語は、彼が63歳で定年退職をするシーンから始まります。

主人公は仕事一筋の人間で、退職してからは何もすることがありません。
家にいても愚痴ばかり、ジムに行っても周りのお年寄りと自分は違うといって打ち解けません。
そんな男が、妻、娘、友人等々と関わりながら終わった人になることを拒みながら、少しずつ受け入れていくようなお話です。

感想としては、私はこのお話好きではありませんでした。
あくまでも、私の好みに合わないということです。
理由としては2点あります。
①展開がご都合主義かつありきたりで驚きがない
②主人公が古い価値観の嫌な奴で共感が出来ない

これ以降はかなりネタバレをしますので、未読で、今後読む可能性がある方は読まないほうがいいかもしれません。

まず①についてですが、例えば、こんな展開があります。
主人公がジムに行くと若い男がいて、その男が実はIT企業の社長だった。主人公はその社長に乞われて顧問として迎え入れられます。
仕事は順調ですが、社長が急逝し、主人公は社員の推薦で社長の座を引き継ぎます。
しかし、大きなトラブルが発生し、会社は倒産、主人公は多額の負債を引き受けることになります。

この展開は、腐っていた主人公を会社員に戻すことで再起させる、事業に失敗することで主人公が弱みを認めたり、終わった人であることを認めたりということを引き起こす重要な展開となるのですが、あまりにも出来すぎじゃないかと感じました。
フィクションなので、ご都合主義はいいのですが、たまたま行ったスポーツジムに社長がいて、一緒に働こうと誘われて、その社長が死ぬっていうのはあまりにもテンプレ過ぎる気がします。
意外性が何もなく、仕事で失敗をしたことのない主人公に仕事で大きな失敗をさせて「終わった人」にさせる意図は感じますが、ちょっと冷めてしまうようにおもいました。

②については、古い価値観の人を描いた物語なので狙い通りなのかもしれませんが、本当に今どきこんな人がいるのかと感じるくらいに昭和然とした感性だと思います。
また、主人公の俺様感は私には受け入れがたいレベルでした。
これは、どこがいい、悪いというものではなく、全体に漂うものだと思います。

結論としては、「終わった人」は私には合わないお話でした。
テーマが定年後の生活なので、世代によって共感できたり、できなかったりの差が大きいのでしょうか。
私には早かったのかもしれません。

若い人にはあまりお勧めできないかと思いますが、映画にもなることですし、皆さんも読まれてみてはいかがでしょうか。
それでは、今後ともよろしくお願いいたします。