感想

【感想】火星に住むつもりかい?(伊坂幸太郎 著)

お世話になっております。
伊坂幸太郎作の「火星に住むつもりかい」を読みましたので感想を残します。
とても面白かったので、是非多くのひとに読んでほしい。
ということで、核心には触れないように気を付けながら感想を書きたいと思います。

伊坂幸太郎作品の面白さ

本の感想に入る前に、伊坂幸太郎作品に共通する面白さについて書かせてください。

私は、数年来の伊坂幸太郎ファンです。
文庫本で出版された本は全部読んでいる程度のファンです。
今まで読んだ伊坂幸太郎作品は、どれも面白いので別の機会にご紹介したいと思うのですが、私が面白いと感じる理由として、すべての本に共通しているのは展開(伏線)のうまさと、ユーモアのあるキャラクターだと思います。

伊坂幸太郎は伏線の貼り方がうまいというか、読者に勘違いを起こさせるのがうまいと思います。
とある場面を抜いた上で時系列に沿って話を展開し、ある程度話を進めてからその抜けていた場面を記述することで、それまでのストーリーで読者が予想・想像している人物像や展開をぶっ壊してきます。
その後、次々と話がつながっていき(伏線が回収され)、いい意味で裏切られる結末に向かいます。
この裏切られる快感や伏線が次々と回収される心地よさに魅了されているのだと思います。

キャラクターも魅力的です。
伊坂幸太郎作品の特徴として、主観を変えながら話を展開していくことがあります。
立場や考えかた、持っている情報の違うそれぞれのキャラクターの視点で現象をとらえるので、誤認した事実に基づき物語が展開し、読者がミスリードされるのが面白いです。

主観になるのは善い人の場合も悪い人(善い・悪いは私の感覚ですが)の場合もあります。
善い人の場合には応援したくなり、悪い人の場合には胸糞悪くなりますが、どのキャラクターも魅力的で次はどう動くんだろうとかこうなってほしいとか、それぞれのキャラクターに対して思いを持ちます。

主観になる人の周りにもユニークな人が多いです。
結構ぶっ飛んだ発想の人が多いのですが、会話は理論的で学術的な知識に基づいたものが多く、さらにその中に重要なキーワードが隠れていることが多いため、1回目には素直に読んで面白く、知的好奇心も刺激され、2回目に読み返すと伏線を探すのが面白いです。

上記のようなことが、私が伊坂幸太郎作品にはまった理由の大きなところだと思います。

「火星に住むつもりかい?」の感想

さて、本題に入ります。
まず「火星に住むつもりかい?」のあらすじをざっくりと。

本作品の舞台は、架空の日本・宮城県仙台です。
この日本では、治安向上のため「地域安全対策地区」という制度があり、この「安全地区」に指定された地域は平和警察という特別な警察に取り締まられることになります。
安全地区では、住民同士がお互いを監視しあいながら危険人物を洗い出し、危険人物として認定されると衆人環視の中、平和警察の手で処刑されてしまいます。ギロチンで首を落とされる、THE処刑です。
安全地区となった仙台を舞台に、取り締まる平和警察の思惑と、取り締まられる住民の思いがぶつかり合いながら物語が展開します。

この本を読み終わって、一番印象的だったのは、平和って何だろうということです。
平和警察は処刑という過激な手段を使うことで住民を恐怖で支配することで、犯罪を抑制した世の中を平和な世の中としています。
ただ、平和警察の力は強力で事実を隠蔽したり捻じ曲げたりということができるため、無実の人でも危険人物とでっち上げて処刑することもできます。
大半の住民は、自分は危険人物ではないと考えて完全に他人事です。しかし、自分が誰かにとって都合の悪い人であれば危険人物とされる可能背があるのです。

大半の住民は盲目的に警察を信じ、でっち上げられた危険人物だとしても本人の特性ではなく警察が発表した情報をうのみにして処刑されて当然だということで処刑を楽しむような感じまであります。
これは平和といえるのかどうか悩ましいです。
確かに、犯罪の発生率が下がれば平和といえるようにも思えます。しかし、権力者にコントロールされた状態は正常といえるのかどうか考えどころです。

次に思ったのは、自分の意志をしっかりもって生きられているかという点です。
本作品に出る人物は、大半が誰かの思惑に乗せられています。
住民や警察官は平和警察に洗脳されている状態で、住民は平和警察のすることは間違いないと信じ、警察官は平和警察は平和のために活動しているから、非人道的な行為も行います。
平和警察に対抗する人も、大半は自分の意志よりは外部の環境や他人の話に引っ張られて行動しているように思います。
物語中、昆虫の話が多く出ます。
昆虫は自分が生きるために色々な技を使います。昆虫は他人に惑わされず、自分にできることを最大限やって生き抜こうとしているように感じます。
物事を考えるときには、自分がどう考えるかを重要視したいと感じました。

終わりに

物語の内容には触れず、感じたことだけを書いてみました。
面白いお話なので、実際に読んでみて感想を比べてみていただけるとおもしろいなと思います。

ここまで読んでいただいた方、本当にありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします